歯科材料の保険適用と自費のいろいろ

目次

保険と自費の違い

 

歯科治療では、健康保険内で使える材料と自費診療で使える材料があります。

今回はこれらの違い、メリットデメリットについて見ていきましょう。

 

 

【保険適用】

  • 金属・硬質レジン

パラジウムや銀、銅などの合金からできた金属です。主に下記のような用途で使われます。

・小さな虫歯の詰め物

・奥歯の被せ物

・奥歯のブリッジ

・硬質レジン(前歯)

  • コンポジットレジン(CR)

CRとは歯科用プラスチックです。技術革新によって歯の硬さに近くなり変色も少なくなっています。主に小さな虫歯の詰め物で使われます。

  • レジン・クラスプ

・人工歯

・義歯床(口腔粘膜・歯茎を覆う部分)

 

義歯ではアクリルレジンと硬質レジンが使われます。色や形を自由に変えられるので、歯・歯ぐきの色を再現できます。クラスプとは、金属製の留め具です。部分義歯を隣の歯でつなぐために使われます。

 

 

【自由診療】

 

  • セラミック歯

 

医療用セラミック素材で作られた詰め物・被せ物のことを指します。

透明感があり、自然な歯の色を再現することが可能です。

使用できるセラミックには下記があります。

 

・オールセラミック(e-max)

・ジルコニアセラミック

・メタルボンド

・ハイブリッドセラミック

 

 

  • インプラント

人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を固定する治療法です。自分の歯で噛む感触を味わえるなどのメリットがあります。ただし、全身疾患がある場合など手術が難しい場合もあるので注意が必要です。

 

 

  • 金属床

自由診療で全部義歯を作る場合、プラスチック以外にもチタン・コバルトクロムなどの金属床を使用可能です。また、部分義歯ではクラスプを使わないシリコン素材など、見た目や装着感にこだわった義歯を作成できます。

きれいな口元を目指して治療を行いましょう。

 

 

 

保険診療と自費診療、どちらを選ぶか

 

健康保険で認められた治療方法ならびに材料であれば保険が適用され、それ以外であれば対象外となるわけです。保険適用内での治療、自費診療での治療でそれぞれにメリット・デメリットがあります。また、口腔状態によってもどの治療法が最適かも変わってきます。

 

 

歯科治療における治療方法については、二つあります。

 

  • 保険診療
  • 自費診療

 

どちらを選ぶかは、患者さん次第です。保険診療・自費診療ともにメリットがある一方、デメリットもあります。今回は費用面や機能面などから考えていきましょう。

 

 

【保険診療】

 

保険診療で使用される材料は、大きく二つ。

 

  • 金属系

・パラジウム合金

・硬質レジン

 

3割負担で詰め物の治療費が3,000円前後。被せ物は4,000~5,000円前後です。

※1本あたり

 

保険が適用されると、やはり負担が少なく済む点が最大のメリットです。しかし、笑顔になった際奥歯に銀歯が見えるなど審美面が犠牲になってしまいます。また、唾液や汗によって金属成分が歯ぐきに溶け込んで黒ずむ「メタルタトゥー」や金属アレルギーが起こるリスクもあります。

  • プラスチック系

 

・コンポジットレジン

・レジン

 

コンポジットレジンは3割負担で1,500円前後。

 

義歯を保険適用で作成する場合は、本数にもよりますが、5,000~15,000円程度です。健康保険を適用する場合は3割負担なので、治療する際の金銭的負担の少なさがメリットといえます。

 

次に、条件つきながら保険適用内で白い歯を入れられるようになったのは嬉しいところでしょう。ただ、プラスチックなのでどうしても強度は犠牲になります。噛み合わせが強い人など、適応外になる可能性があるので注意してください。

 

 

【自由診療】

 

自由診療の治療費は素材によって変わります。詰め物であれば2万円台~8万円前後。被せ物は、9万円~16万円ほどです。

義歯であれば一床あたり22~40万円、インプラントの場合は1本あたり30~40万円となります。

 

使える材料に制限がないので審美面では大幅な改善が見込めるでしょう。

費用面では保険診療の10倍~200倍になるので経済面がネックになります。

自費診療を選ぶのであれば、予算と相談しながら進めていきましょう。

 

また審美面を考えて銀歯になっている歯をセラミックに変えたいもしくはインプラントにしたいと考える人は増えています。ただ、口腔状態によって選択肢が限られることがあるかもしれません。事前に定期検診をして現在の状態を把握しておきましょう。

 

 

治療した歯の耐久年数について

歯の治療を行う理由は人それぞれ。「虫歯・歯周病になったため」という人もいるかもしれません。もしくは過去に入れた銀歯を審美面で作り変えたいと考えている人もいらっしゃるでしょう。

 

 

その目的に関係なく言えることがあります。

 

それは、「治療したあとのケアは治療以上に大切」ということ。

 

治療で使用した材料にも耐用年数があります。どれも半永久的に使用できるわけではありません。たとえば、パラジウム合金や硬質レジンは詰め物で3~5年、被せ物だと5~7年程度です。

 

同じく健康保険内で使われるコンポジットレジンの耐用年数は、約3~5年と言われています。ちなみに、プラスチック(レジン)の義歯は3~5年。

 

金属床の義歯が、5~8年。セラミックは約10年。インプラントの耐用年数も同じく約10年ほどです。ここで書いた耐用年数は、あくまでも平均値。

 

 

しっかりとアフターケアをして大切に使うと耐用年数より長く使える可能性もあるでしょう。しかし、「治療できた」ことに安心してその後のケアを怠ると…、平均よりも短い期間で作り直しになってしまうかもしれません。

 

実際、インプラントをしたあとケアを怠ったことでインプラント周囲炎になり、すべて取れたという事例もあります。快適な生活をキープするためにも日頃のケアをしっかりと行ってくださいね。

 

 

それでは!

あなたの歯がずっと健康でいられますように。

 

 

PS.

治療を行ったあとは、歯科医院での定期的なケアが大切です。歯の大切さをわかっている人であれば、自宅でもケアをしていることでしょう。それでも磨き残しは出てしまいます。それらをチェックして、歯石・歯垢を除去することこそが口腔を健康に保つ第一歩です。また、定期検診ではブラッシングの指導を受けられます。

ケア用品の相談も承っているので、これを機に見直したい人は遠慮なくご相談ください。

 

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