歯科医師から見る感染症・夏風邪の注意点

こんにちは、春山です。

目次

感染症について

 

新型コロナウイルスは全国的に見てもほとんどの都道府県において増えています。基礎疾患があるなど重症化リスクのある人は注意が必要です。

 

出典

新型コロナと感染症・医療情報

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/

 

新型コロナウイルス以外にも注意すべき感染症

しかし、新型コロナウイルス以外にも注意すべき感染症があります。

 

夏に注意すべき感染症は「夏風邪」と呼ばれる咽頭結膜熱(プール熱)や手足口病、ヘルパンギーナ。呼吸器疾患のRSウイルス感染症です。

中でも全国的に流行しているのが、「ヘルパンギーナ」です。

 

今年は4年ぶりに流行警報が出た東京都を皮切りに、沖縄県を除く46都道府県で流行警報が出ています。

 

先にあげた咽頭結膜熱や手足口病と並ぶ「夏風邪」の一種で、毎年7~8月にかけて流行。発熱や咽頭痛(のどの痛み)など風邪の諸症状の他、のどに水疱ができることが特徴です。

そのため、拒食や哺乳障害が出やすくそれに伴って水分補給ができにくくなります。

 

主に5歳までの乳幼児に発症しやすい病気ですが、お子さんの看病中などに二次感染することも。

 

大人の場合、発熱やのどの痛みの他、頭痛・関節痛などが出やすいので注意が必要です。

 

出典:

感染症・予防接種ナビ

https://kansensho.jp/pc/if_alert.html

 

 

その他、例年は夏にはほとんど出ないインフルエンザも地域によっては患者が出ています。

感染症が同時流行している理由

なぜこれらの感染症が同時流行しているのでしょうか。

理由はふたつ考えられます。

 

  • 免疫(抗体)の減少

約3年続いたコロナ禍では、行き届いた感染対策によりコロナ以外の感染症については発症も抑えられていました。

しかし、それによって病気に罹る機会が少なくなったのです。

 

  • 人流の増加

5月8日以降5類に移行したことで人流も増加。

それによって他の感染症についても感染者が増加していると考えられます。

 

 

夏の感染症における感染原因はふたつ。

 

  • 飛沫感染

咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込むことによる感染。

 

  • 接触感染(糞口感染)

感染者が触れたものについた唾液や体液、もしくは便に付着したウイルスからの感染。

 

感染しないためにも、「手洗い・消毒」といった今まで同様の基本的な対策を行うことが大切です。さらに口腔ケアもしっかりと行ってください。

 

 

 

ちなみに口内にいる細菌は300~700種類。

その中でも、歯周病菌などの悪玉菌が活性化すると、ウイルスも活動しやすくなるのです。口内にはウイルスを排除する働きを持つIgAという抗体があります。しかし、口腔が“不潔”だとその働きも弱くなりやすいのです。実際、口腔ケアが感染症対策になるという研究結果もあります。定期検診などを活用して口腔ケアを行い、感染症を防ぎましょう。

夏風邪でもしっかり水分補給

 

 

夏風邪はいずれも発熱やのどの痛みなどといった症状があります。

 

特に手足口病とヘルパンギーナは水疱性発疹や水ぶくれのような発疹が起こるのが特徴です。

 

さて、風邪をひいたときに怖いのはのどの痛みや水疱性発疹などのために水分補給ができにくいこと。特に水疱性発疹ができると、水を飲むだけで痛みを感じることも。

 

脱水症状の原因になるので、注意が必要です。

 

歯科的に怖いのは、次のふたつ。

 

  • 唾液が分泌されにくくなる

 

水分を摂れなくなると、必然的にのどが乾くので、唾液も減少します。

唾液にはさまざまな働きがありますが、それらが期待できなくなるわけです。

 

 

  • 虫歯・歯周病を誘発しやすい

唾液の作用がなくなると歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。

唾液が分泌されないことで口腔環境が不潔になりやすく、口腔疾患を引き起こすわけです。

 

水を飲みにくい時は…

では、水を飲みにくいとき、どうやって水分補給すればいいのでしょうか?

 

方法としては2つあります。

 

  • スプーンで飲ませる

小さい子どもであれば、少し深いスプーンを使って口に含ませてみることが有効です。

 

 

  • ストローを使う

 

吸う力がある子どもや大人であれば、ストローを使って少しずつ飲むといいでしょう。

 

 

おすすめの飲料は麦茶か経口補水液(OS-1)です。

 

経口補水液は自分で作ることもできます。

材料は下記のとおりです。

 

水:500ml

ブドウ糖(砂糖):10g

食塩:1.5g

レモンの絞り汁:少々(※)

※グレープフルーツでも可

 

※保存がきかないので、1~2日以内に飲み切ってください。

 

効率的に水分補給を行うことで唾液の分泌も促進されます。

少量でもいいので、無理のないように行いましょう。

 

 

加齢による口まわりの筋肉の衰えや口呼吸なども、唾液が分泌されにくい原因です。

普段から定期検診やセルフケアで口の状態を確認して、悪いところがあれば治療しておきましょう。

水がない時の歯みがき方法

 

夏風邪によるのどの痛みや水疱ができると、水分補給だけではなく歯みがきもしにくくなるでしょう。

「痛いから」といって歯みがきをしなかったら、口腔内の細菌が増えます。

特に就寝前は唾液の分泌も少ないため、細菌の増加もあっという間です。

 

歯みがきを休むと、虫歯・歯周病などの口腔トラブルを起こしやすくなります。

そしゃく機能が低下している高齢者であれば、口腔ケアができないことで誤嚥性肺炎を誘発する可能性もあるでしょう。そのことを考えると歯みがきを休むわけにはいきません。

では、水を飲みにくい状態で歯みがきできるのでしょうか?

結論からいうと、少量の水があればできます。

 

<非常手段> 歯ブラシを使わずに口腔ケアする方法

 

 

ここからは、その方法を紹介しましょう。

 

 

【少量の水で歯みがき】

 

◆用意するもの

 

・コップ:2個 ※うがい用・すすぎ用

・水:50ml

・歯ブラシ

・ティッシュもしくはウェットティッシュ

 

◆あれば便利なもの

・うがい薬

・液体ハミガキ

・洗口液

・リップクリーム

 

1.ウェットティッシュ、または水に濡らしたティッシュで唇を拭く

 

2.コップに水を入れる

(A)うがい用:30ml

(B)すすぎ用:20ml

 

3.歯ブラシを濡らす

 

4.歯みがきを行う

 

5.汚れを拭き取る

 

6.すすぐ必要があればすすぐ

 

7.4~6を繰り返す

 

8.うがい用の水で2~3回うがいする

 

 

うがい薬や液体ハミガキ、洗口液があれば、歯ブラシをすすぐ際とうがい時に少量くわえるとより効果的です。

 

また、リップクリームがあれば口腔保湿ができるので普段から持っておくといいでしょう。

 

 

【歯ブラシがない場合】

 

1.タオルもしくはハンカチを濡らして固く絞る ※ウェットティッシュでも可

 

2.洗口剤で20~30秒くらいすすぐ

 

3.1を指に巻いて、歯・歯間・歯肉の境目をこする

 

参考:

水が少なくても効率的に口の中をキレイにする方法

http://www.oralcare-jp.org/wp-content/uploads/2020/12/minimum_water.pdf

 

 

もしもの時の参考にされてください。

 

それでは!

あなたの歯がずっと健康でいられますように。

 

 

PS.

ここで紹介したケア方法はあくまでも簡易的なものです。

そのため、歯間や歯ぐきとの境目など十分に磨けていないことが考えられます。

体調が戻ったら定期検診を活用してしっかりとチェックしましょう。

ケア用品の相談も承っているので、ケア用品・方法の見直しも行ってみてはいかがでしょうか。

 

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