オーラルフレイル

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65歳以上の方はオーラルフレイルに要注意

総務省の推計によると、65歳以上人口の割合が約3割(29.1%)で、人口にすると3,621万人です。
さらにくわしく見ると、70歳以上が全体の23%(2,872万人)を占め、75歳以上は同じく15.5%で人口にすると1,235万人います。
統計を取りはじめた1950年の高齢者割合が4.9%で、初めて10%に到達したのが35年後の1985年です。
その後20年かけて20%超(2005年)、17年かけて30%近くまで到達しました。

出典:総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1321.html

超高齢化社会となった現在の日本。怖いのが「(オーラル)フレイル」です。
「身体機能の衰え」という意味で使われます。

もともとは「か弱さ」や「こわれやすさ」という意味があるフレイル。
これを人間に当てはめると、健康寿命を失った。もしくは失いそうな人ということですね。
当然その影響は口腔機能にもあらわれ、特に口腔機能では「オーラルフレイル」といいます。

日本歯科医師会による定義は、下記のとおりです。
口腔機能の軽微な低下や食の偏りを含む、身体の衰え(フレイル)のひとつ。

出典:日本歯科医師会
https://www.jda.or.jp/enlightenment/oral/about.html

「噛む」「飲み込む」「話す」が衰える

つまり、私たちが普段行っている「噛む」「飲み込む」「話す」などの口腔機能が衰えることを指しています。

日本では高齢化社会の到来を見越し、東京大学高齢社会総合研究機構で研究が行われており…
前段階(プレフレイル)の症状として下記のものが挙げられています。

●口の乾燥
●わずかにむせる
●固いものを噛みにくくなる
●食べこぼしが増える
●滑舌低下
●舌の動きの悪化など

最初はそんなに目立たないため見逃されがちです。
しかし、これらの症状を見逃してしまうと一気に健康状態が悪化。結果、健康寿命がなくなってしまう可能性もあるでしょう。十分に注意してください。

オーラルフレイルを放置すると

オーラルフレイルで見られる初期症状を放置すると…虫歯・歯周病などの歯科疾患の原因にもなりえます。
そのため、虫歯・歯周病対策がオーラルフレイル対策につながるといってもいいでしょう。
まずは普段のケアはもちろん、クリーニングなどのケアもしっかりと取り入れてこれからの人生も健康に過ごしましょう。

オーラルフレイルは、健康状態の悪化と口腔機能低下の中間にある状態です。
まず噛んだり飲み込んだりする機能が低下すると、食事しにくくなります。
また、滑舌が悪くなると人と話すのが億劫になるでしょう。

つまり、口腔機能が低下すると人間が普段取っている社会的活動にも大きな影響があります。
「8020運動」という言葉があるように、できれば80歳時点で自分の歯が20本以上あることが理想です。
しかし、虫歯などの理由で自分の歯が失われていても義歯をつくりケアすることで口腔機能を保つことができます。

具体的な症状

さて、口腔機能が低下することで想定されるのが下記のような悪循環です。

●噛む機能が低下
●固いものが噛めない
●食事のメインがやわらかいものになる

その結果として、口腔機能と心身機能の低下につながるわけです。
高齢者になって苦しまないために、40代からケアしてください。
オーラルフレイルのチェック方法を紹介します。

●噛む力

頬骨下部のへこみにある咬筋(こうきん)と、こめかみと耳の上を結ぶ線から後頭部にある側頭筋を指で押さえてください。
その後、奥歯で噛んでみて筋肉の動きがわかるかどうかチェックしてみましょう。

●生活習慣

チェック項目は8つ。

1.固いものを噛みにくくなった
2.お茶や汁物でむせやすい
3.自分の歯で噛めている(義歯で固いものを噛める)
4.口の乾燥が気になる
5.外出が少なくなった
6.さきイカやたくあんを噛める
7.1日2回以上歯磨きする
8.定期的に歯科医院に行っている

※1~3:「はい」2点
4~5:「はい」1点
6~8:「いいえ」1点

出典:日本歯科医師会
https://www.jda.or.jp/happysmile/healthchek/index.html

合計で3点であればオーラルフレイルの危険性あり。4点以上であれば危険性が高いとされています。
口腔機能が悪くなっていないか、しっかりとチェックしましょう。

歯を失う原因はさまざまありますが、虫歯・歯周病が全体の約7割です。
ただし、歯を喪失しても義歯で噛めるようにしておけばフレイルは十分に防げます。
現状で歯がないままになっている場合、今のうちに治療しておきましょう。

対策方法

噛む・飲み込む・話すなど、口腔機能が加齢によって低下することが「オーラルフレイル」です。
口は飲食や会話だけでなく、細菌・ウイルスの入り口にもなります。
そのため、「お口の健康こそが 全身のフレイルを防ぐ」といっても過言ではないでしょう。
防止するために、セルフケアや定期検診で歯垢・歯石を取るなどのケアが大切なのは言うまでもありません。
これらを行った上で、普段から口腔体操を行うとより効果的です。

簡単にできる体操を紹介しましょう。

●口の体操

・口をすぼめて「ウー」
・横に開いて「イー」

これを繰り返してみてください。

●唇と頬の体操

頬を膨らませてブクブクうがいの要領で3回程度口をすぼめてみましょう。
水は、あってもなくてもOKです。

●パタカラ体操

・唇をはじくように「パ」
・舌先を上の前歯裏につけるようにして「タ」
・舌の奥を上顎奥につけるようにして「カ」
・舌を丸めるようにして「ラ」

これを8回2セットやってみてください。
同じ音を繰り返してみるとより効果的です。

●唾液腺のマッサージ

・耳下腺
上の奥歯あたりにある「耳下腺」に指数本を当て、円を描くように10回マッサージ。

・顎下腺
顎内側のくぼみ3~4箇所を順番に押してみてください。
それぞれ5回が目安です。

・舌下腺

顎中心の柔らかい部分に両手の親指を揃えて当て、10回程度上にゆっくり押してみましょう。

●舌の体操

舌を左右の頬内側で押し付け、外側は指を使って押してみてください。
これを10回すると、舌の強化になります。

出典:日本歯科医師会
https://www.jda.or.jp/oral_flail/gymnastics/

簡単な体操ですが、実際にやってみることでフレイルの予防につながります。
ぜひ実践してみましょう!

それでは!
あなたの歯がずっと健康でいられますように。

PS.

フレイル予防のケアは、やはり虫歯・歯周病予防が基本です。これらの疾患で歯を失う状況を避けましょう。
日常のセルフケアはもちろん、定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアを習慣づけましょう。

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