歯周病は国民病になっています

歯周病は成人の80%がかかっていると言われます。
もはや国民病と言っても良いくらいの勢いです。
世間一般の大人、ほとんどの方が口腔内部になんらかの問題を抱えている、と言っても過言ではないような感じです。
いままでの治療では歯科医院で正しい歯の磨き方を教えてもらってプラーク除去に力を入れていく、くらいしかできなかったわけですが、
そういった従来の治療方法がひょっとしたら、劇的に変化するかもしれないのです。

大阪大学歯学研究科の村上教授のグループではその画期的ともいえる方法を研究しておられるそうです。
その方法とは、歯根膜に眠っている幹細胞を骨や歯茎に変化させる、という夢のような治療なのです。
たぶん、歯周病などに罹患して、歯肉を失った方、加齢とともに歯茎が下がってきた方、というのは意外に多いのでは、と感じます。
そういった悩みから今後、解放されるかもしれません。

歯周組織はもともと四つの部位に分かれています。歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質です。
歯根膜は歯槽骨とセメント質の間にあって、歯と歯槽骨をつなげる役割を持っています。
この歯根膜の中に、その後どの細胞になるかがまだ未定、という赤ちゃん細胞があるようなのです。
赤ちゃん細胞は骨にも筋肉にも、脂肪にも、なり得ます。
ちょうど、京都大学のiPS細胞研究所であるCIRA(サイラ)での研究を彷彿とさせますね。
いままでできなかったことが出来るようになる、というのはそれ自体、とても夢のある研究だと感じます。

この、失われた部分を再生させる治療方法は実用化につながれば、世界初になるそうです。
現在では人工膜を使用したGTR法やエムドゲイン法などが主流ですが、それらの方法はいずれの場合も医療材料を必要とします。
大阪大学での研究はこの医療材料に頼らず、歯周組織再生を促す初めてのクスリの開発を目指しているわけです。

医療の世界は日進月歩と言われていますが、まさしくそんな感じだなあ、と思いました。
新しい技術がさまざまな人の手によって生まれようとしています。
それは本当に素敵なことだと感じます。

こちらの幹細胞に由来する再生医療は、すでにビーグル犬で実験が行われており、これから臨床研究へとシフトしていくようです。
技術力の革新が日本から始まっているのは、すごく楽しみでもあります。
大阪大学歯学部付属病院では診療科で一般患者の検診も受け付けているようですので、
興味のある方は歯科検診に訪れてみても良いのではないでしょうか。